そもそも腰水とは何?
実生時の水分の必要性
植物が正常に生育する上で、水分は重要な要素です。
塊根植物や多肉植物は、重要な要素である水を体内に蓄えることができるため、乾燥にも耐えることができます。
その性質から、乾燥気味の方が好みだったりもします。
しかしそれは『ある程度成長』してからの話。
種から発芽する時、また『ある程度成長』するまでは十分な水分が必要です。
自然環境下では乾季には種子は休眠状態で耐え凌ぎ、十分な水分が確保できる次の雨季を待っています。
水分を切らさないようにできるのか
いざ自分で種子を実生から育てようとしても、十分な水分を種子に提供できなければ種子は発芽しません(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
とはいえ、潤った環境を常に維持できるかというと、なかなか難しい。
学校や仕事など出かけている時には、鉢の状態を常に確認するなんて不可能ですよね。
実生時に水分を確保するための腰水
そこで『腰水』をしてあげることで、常に用土が湿った状態を維持することができます。
腰水とは、用土が入った鉢ごと水を張った容器に浸けてしまう方法です。
腰水には次のようなメリットがあります。
- 水やりをするよりも用土が湿った状態を長時間維持できる
- 上から水をかけないので、種子が流れてしまったり、水流で用土を掘り起こさない
1.に関しては、そのためにやってるので当たり前と言えば当たり前ですね(^_^;)
2.は意外と重要なメリットで、こさえたてのまだ土が柔らかい状態や、バーミキュライトを表面に敷いた用土に水をかけると、ほぼ土がえぐれます(笑)
それだけならまだしも、細かな種子だと鉢の奥へ流れ込み、どこに行ったか分からなくなります(笑)
腰水&密閉
腰水管理をすることで用土に水を供給することができますが、実はそれだけだと種子が潤ってくれない場合があります。
好光性種子で用土表面に種子を播種する場合です。
嫌光性種子は用土に種子を埋めてしまうのでいいんですが、用土表面に種子を置いた場合、用土が吸い上げた水分が十分に行き渡らなかったり、種子が外気に触れているので乾燥気味になってしまいます。
そこで、腰水する容器自体に蓋をしてしまい密閉する事で、種子に十分な湿度の環境を提供することができます。
※湿度管理に便利な湿温度計はこちらの記事を見てね。
腰水にプラスαのメネデール
腰水は種子に十分な水分を提供するために行うので、ただの水道水で十分事足ります。
ですが、播種前の種子を一晩メネデールに浸す「おまじない」を腰水の際にも行ってあげることで、劇的な効果は認められなくとも精神的に「やった感」が出ます(笑)
やり方は簡単。水をメネデール希釈水にするだけ(°▽°)
また、同じように植物育成の活力剤であるハイポネックスの希釈水にしてもいいと思います。
腰水のデメリット
藻の発生
湿度を高い状態で維持するので、アクアリウムでは定番の藻やアオミドロが発生することがあります。
完全に外界と遮断すると発生率は下がりますが、一度混入するとどんどん増えていきます。
増えすぎなければ放っておいてもいいと思いますが、見栄えは悪くなります。(あまりにも増えすぎた場合は、栄養が取られてしまう可能性があるので注意)
水の交換が必要
腰水がまだあると放っておくと、水はどんどん悪くなります。
蒸発してる場合は水を足すだけでもいいですが、できる限り新鮮な水に交換してあげましょう。
ただ、一度すべての鉢を取り出す必要があるため、ケース内に沢山の鉢を入れておくと一苦労です(^◇^;)
いつまで腰水すべきか
腰水管理の期間は、
- 本葉が顔を出すまで蓋付き
- 自生地の雨季と同程度の期間腰水
です。
これは蓋付きのケースで腰水管理していたとあるパキポディウムです。
数日経過し、そろそろ大丈夫かと腰水は継続しつつも蓋なしの状態に変更しました。
さらにそこからおよそ10日経過すると…見事に2ついなくなっています(´⊙ω⊙`)
右下の子はもともと色が良くなかったように見えますが、蓋なしにした事により、湿度が足りず、成長が不十分でなかった個体が消えてしまったものと想定されます。
5月7日に蓋付きの環境から蓋なしの環境に変更しましたが、湿度が40%程度でした。
成長不十分で、この常湿環境に対応できなかったんですね。
性質の違いから考える腰水の期間
これは腰水の期間というより、「蓋を閉めた状態」や「ラップをかけた状態」で、高湿度な環境下で腰水をする期間についてです。
植物が発芽すると、実に色々な芽を出します。
パキポディウムみたいに伸びずにぷっくりした芽を出すもの、チレコドンみたいに微細な種子からちっさい芽を出すもの、ひょろっともやしみたいな芽を出すもの、グングン伸びるもの…。
もちろん当てはまらないものもあるとは思いますが、ざっくり次のような傾向があるように考えています。
ぷっくりした芽
- 高湿度環境下でも順調に成長する。
- 本葉が出るくらいまでは蓋付きorラップがけでも問題は発生しづらい。
パキポディウム、アデニウムなど
微細種子から発芽する微細な芽
- 高湿度のままだとすぐに溶ける。
- 蓋付きでほぼ100パーセントの湿度よりも、隙間開けたラップのほうが無難。
チレコドン、オトンナなど
もやし的なひょろっとした芽
- 高湿度のままだと倒れるか溶ける。
- ラップがけだと、すぐにラップにぶつかってしまう。
- ラップがけにしておいて、発芽したらすぐにラップを取るのが無難。
センナ、フォークイエリアなど
グングン伸びる芽
- 高湿度は発芽したら即やめる。
- 高湿度でもへたらないがいいこともない。
ボンバックス、デロニクスなど
腰水する時にあったらいいもの
腰水しようとする際、大抵は屋内で行います。
その時あったらいいものを紹介します。
植物育成LEDライト
何はなくとも必須です。
好光性種子は元より、嫌光性種子でも発芽後は光が必要。
屋内管理では光が不足するので補ってあげる必要があります。
棚
最悪無くても床に直置きでもいいんですが、少し冷え込んできた時期など、床は意外と寒くなります。
またつまづいてしまうと痛いばかりか種子もダメにしてしまうため、あった方が無難です。
まとめ
以上、腰水での実生方法でした。
藻との戦いにもなりますが、確実に水分供給できる方法ですので、試してみる価値はあると思います^ ^
※栽培の基本的な知識は書籍も参考にすると捗ります。
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