植物育成に適した環境
植物を実生する・育てる際、その植物が自生している環境を再現してあげた方が、枯れにくい、成長しやすいです。
人間も慣れない環境だとしんどい…。
自生地の環境を肌で感じるのが一番だとは思うんですが、一年を通じて気温や湿度、自然環境は移り変わります。
環境を肌で感じることが出来るのは、潤沢な資産と時間がある限られたごく一部の方々のみですよね(^◇^;)
ただ今はインターネット上にいろいろな情報が公開されています。
- ケッペンの気候区分
- World Weather Online
などなど
これらを活用することで、この植物はいったいどんな環境で自生しているんだろう?といった疑問を解決することができます。
ケッペンの気候区分
ケッペンの気候区分って何?
地理で習うのでご存知の方も多いはず。
ドイツの気候学者が考案した、気候の区分です。
詳しくは、もっと専門的なサイトや高校地理の勉強サイトなどを見ていただくとして、ここでは詳細の説明は割愛します(^_^;)
(現代まで蓄積されたデータを基に気候区分を刷新したものがcreative commonsに公開されています)
“File:Köppen-Geiger climate classification (1980-2016).png” by Maulucioni, based on a previous work by Beck, H.E. et al. 2018 is licensed under CC BY-SA 4.0
ケッペンの気候区分をどう使う?
この気候区分で、育てたい植物の自生地の情報を見てみます。
例えば、塊根植物として人気の高いパキポディウムですが、その多くはマダガスカルが原産です。
“File:Koppen-Geiger Map MDG present.svg” by Beck, H.E., Zimmermann, N. E., McVicar, T. R., Vergopolan, N., Berg, A., & Wood, E. F. is licensed under CC BY 4.0
パキポディウムの中でも人気の高いグラキリスの自生地は、マダガスカルのイザロ国立公園付近とのことです。
気候区分と実際の地図を見比べてみると、グラキリスの自生地は気候区分は『Cwa』に属していることが読み取れます。
Cwaとは、
- 温帯(C)
- 冬に乾燥する(w)
- 最暖月の平均気温が22℃以上(a)
ただし、『温帯』とは『月平均の気温が年間で最も寒い時で-3℃〜18℃』かつ『月平均の気温が最も暖かい時で10℃以上』と幅広い定義になっています。
ちなみに日本はこんな感じ。
“File:Koppen-Geiger Map JPN present.svg” by Beck, H.E., Zimmermann, N. E., McVicar, T. R., Vergopolan, N., Berg, A., & Wood, E. F. is licensed under CC BY 4.0
日本の暖かい方の地域では、マダガスカル同様『温帯』ではありますが、区分が『Cfa』となっています。
- 温帯(C)
- 湿潤(f)
- 最暖月の平均気温が22℃以上(a)
違いは湿度
世界の過去の天気
ケッペンの気候区分で分からないこと
ケッペンの気候区分では、大枠の気候区分の違いを確認することができました。
大雑把な気候については知ることができましたが、乾燥って具体的にどれくらい?は分かりません。
世界の天気を調べてみる
国内のサイトでも、気象庁が世界各地の気象データを公開しています。
このサイトは気象庁が運営しているだけあって日本語で扱いやすいのですが、公開している情報が主要都市のみのため、痒いところに手が届かなかったりします(^_^;)
そこで海外のサイトではありますが、World Weather Onlineというサイトが便利です。
World Weathr Onlineの使い方
検索ボタンをクリックすると、入力用のボックスが表示されます。
検索したい地名を入力します。今回はイザロ国立公園付近の地名『Ilakaka』を入力すると、候補が表示されるのでそれをクリックします。
Ilakakaの天気が表示されました。
現在の天気を知るのもなんか楽しいのですが、年間の気候を知りたいため、Averagesをクリックします。
これで以下のように、気候データの年間平均などを確認することができます。
この図だと、月別の最低/最高気温の平均を表していますが、それ以外にもたくさんのデータをグラフ形式で確認することができます。
- 降水量
- 積雪量
- 風速
- 日照時間
など
日本のデータとの比較
同じように、日本のデータも確認します。
東京のデータと気温の平均値を並べてみました。
北半球に位置する東京と南半球に位置するマダガスカルなので、寒暖の季節が逆転していたり、縮尺が違うので見づらいですが、マダガスカルに対して東京は次のような傾向が見てとれます。
- 寒い時期は最高/最低共にマダガスカルより冷え込む
- 同月内の最高と最低の差が小さい→暑い時期はずっと暑く、寒い時期はずっと寒い
次に降水量を比較してみます。
これはさらに縮尺の差が激しいのですが、東京は以下の傾向があるように見受けられます。
- 沢山の雨は降らないものの年中降水量がある。
逆にいうとマダガスカルは、6〜9月はほとんど雨が降らないんですね。
これが『乾燥』の要因なんですね。
植物の育成に置き換えてみる
これまでの内容から、グラキリスを育成する際、以下のような環境を作ってあげる必要がありそうです(^_^;)
- 最低10℃以上をキープする
- 最高30℃程度までをキープする
- 寒い時期でも日中は20℃まで加温する
- 朝晩の寒暖差は比較的許容できる
- 暑い時期はたっぷりと水を与える
- 寒い時期は水やりを控える
これ以外にも、モンスーンの影響など他の要因もあってのグラキリスのあのでっぷりした姿だとは想像に難くないですが。
この調査結果と、以前紹介した「植物の温度管理にWiFi温度計」とを組み合わせていくと、一段と植物のことが理解できるのではないでしょうか(°▽°)
まとめ
ここで挙げた考え方は、管理者の独断と偏見です。
もちろん国内実生などで元々日本の環境下で育てる場合は、環境に適応する部分もありますが、それにも限度があります。
できる範囲でもいいので、植物にとって心地いい環境を用意してあげたいものです(о´∀`о)
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